視覚と聴覚どっちが優位か

天才児とアスペルガー

よく子育てについてのいろいろなブログやYahoo知恵袋を拝見させてもらっているのですが、ときどき、そのブログのお子さんが1~2歳で文字や本を読めるようになったり、計算ができたりする内容のものがあります。我が子に早教育をほどこして、できるだけ早い時期に「読み、書き、計算」を獲得してもらいたいと願っている身としては羨ましい限りで、「どうやったらそのように育てることができるんだろう」と思ったりもします。しかし、注意してもらいたいのが、異常なくらい早い時期に文字や数を認識できるようになり、一見、高い知能があるようにみえる天才児が、実は自閉症スペクトラムである可能性もあるということです。自閉症スペクトラムとは自閉症~アスペルガー障害~広汎性発達障害などを含む概念で、一般的に社会性の障害があるとされます。いわゆる、集団において空気が読めず、社会での生きにくさを感じている方々です。仕事や家事に追われるなか、また、自身の面倒臭がりな性格や怠惰さもあってなかなか子どもに早教育の働きかけができずに四苦八苦している私のようなパパやママがいる一方で、子どもに特別な働きかけをしなくても、勝手に子どもが文字や数に魅了され、異常に早い時期に読書や計算ができるようになるお子さんをもつ家庭もあるということです。実際、医師やGoogleなどの世界的IT企業で働いている人でアスペルガーのかたは多いそうです。IT企業でプログラマーとして働いている人は社会性が欠如していても、どうにかやっていけそうですが、医師の場合はどうでしょうか?研究職でない限り、患者さんやその家族、看護師などのコメディカルとコミュニケーションで弊害が起こりそうで仕事に支障を来たしそうですよね。ちなみに、うちの長女の場合は、3歳2か月でひらがなとカタカナを読み、3歳4か月で1ページに一言くらいの簡単な絵本を読んだとの記録があるので、早すぎもせず遅すぎもせずといったところでしょうか。私が意図的に早期に介入をしてなければ、未だに絵本や文章に興味などなかったかもしれません。そのかわり、ごっこ遊びや人形遊びは大好きで、空気を読むことは得意中の得意なので、親の目からみても自閉傾向は全くみられません。

認知特性の偏りが天才児をうむ

ではなぜ、こんなにも子どもの認知の発達に偏りがあるのでしょうか。放っておいても、文字や数に興味がいき、小学校のころには子供向けの図鑑では飽き足らず専門書を読み耽るような子もいれば、たくさん働きかけを行っても普通程度にしか発達しない子もいる。おそらくは先天的な要因が強いと思います。文字や数を認識する脳部位が働いたときに、脳内の快楽物質が出やすいという先天的な特性があるのでしょうか。または、コミュニケーションや愛着、身体を動かすことにより分泌されるはずの快楽物質が先天的に出難く、相対的に文字や数の認識に脳の報酬系が強く働いているのかもしれません。先天的な認知特性が強い場合は、環境要因である「早教育による親の働きかけ」は、よほど上手くやらない限り、子どもの先天的な発達の偏りの方向を大きく変更させることはできないでしょう。いわんや、幼児教室や塾に任せるようなやり方は、環境要因としての刺激が小さすぎて、変更できないどころか、逆にトラウマや抑制因子になりかねないと思います。

視覚優位と聴覚優位と体感覚優位

NLPの本や発達障害の本で触れられていたことなのですが、どうやら人間には人それぞれ優位な認知特性があり、その得意な感覚を使って外界を認知し、学習し、コミュニケーションを図っているようなのです。ちなみにNLPとは神経言語プログラミングの英語の略で心理療法から発展したコミュニケーションスキルの一つであり自己啓発や自己コーチングの類です。NLPでは「視覚優位」と「聴覚優位」と「体感覚優位」の3タイプにわけられるそうです。一つ一つ説明しますと、視覚優位の人の特徴は、映像を思い浮かべながら話します。映像は言葉よりも情報量が多いため、多くのことを言葉で表現しようとして、早口になります。また、話が飛ぶこともよくあります。視線は上を向くことが多く、思い浮かべている映像を表すような手振りが多くなります。本を映像として記憶するフォトリーディングもこの手の発展系と思われます。聴覚優位の人は、言葉を大切にして話すため、理論立てて話すことが多いのが特徴です。視線は横を向くことが多く、耳や顎に手をやることが多くなります。体感覚優位の人は、身体で感じながら話し、感情豊かでゆっくりと話すのが特徴です。視線は下を向くことが多く、感覚を表現するような手振りが多くなります。

認知特性にあった働きかけをする

自分がどのタイプに当てはまるのか、また、自分の子どもがどの感覚を優位に使って外界を認知しているのかを探ってみるのもいいかもしれません。なぜなら、子どもの優位な(得意な)感覚を知ることで、感覚特性にあった働きかけや学習法を行うことができ、効率的だからです。たとえば、視覚優位の子どもに言葉で説明する講義形式をしても無意味でしょうし英会話教室でも視覚にうったえかける工夫が必要でしょう。聴覚優位の子どもの場合はイラストやグラフよりも言葉で説明したり、文章も音読が効果的でしょう。体感覚優位の子どもは、手を動かして書きまくるとか、実際に工作したり、体験学習が良いように思えます。しかし、勉強というよりもスポーツ大好きっ子って感じなので、たくさん体を動かして空間認知を後天的に発達させ、2番手に視覚優位をもってくる戦略が良いかもしれません。前述した優位感覚別の学習法を考える必要があるのは小学校高学年以降です。なぜなら、まだ神経系が完全に発達していない小学校中学年より下の時期には、逆に、優位感覚以外の不得意感覚を伸ばす働きかけをするべきだと思うからです。親が視覚優位であれば、子どももその特性を受け継ぐ可能性が高いので、絵本の読み聞かせやドラマCDを多くし、聴覚認知を伸ばす働きかけが必要でしょう。逆に、親が聴覚優位であれば、子どもにはパズルやブロック、お絵描きや塗り絵、粘土遊びなどを重点的に行うことが良さそうです。

自分のお得意感覚を調べてみる

私はどちらかというと小さいころから運動が得意でした。道を覚えるのも得意で、どこにいても方向がだいたいわかりますし、一度行った場所であれば、使ったことのない別ルートでもたいがい行くことができます。職業は理学療法士で病院でリハビリの仕事をしてますが、患者さんの手足を触り、曲げたり伸ばしたりすると、なんとなく患者さんの気持ちや身体のどこが痛いのかも解ります。私は小さい頃から、言葉で説明されることを理解するのが苦手でした。レクリエーションのゲーム説明や業務の説明などは文章にして読まないとなかなか理解できませんでした。とりわけ家の書棚に本がたくさん並んでいるわけではありませんでしたが、小学5年生の頃に友達の影響で「ズッコケ三人組」シリーズをきっかけに本が好きになりましたが、読むスピードは非常に遅かったものです。これらのことから総合すると私は体感覚優位で、次いで視覚認知。聴覚理解が一番苦手だということが推測できます。実際に、「お得意感覚テスト」というネット上の質問形式のテストでは予想どうり以下のような結果となりました。結果の説明やアドバイスも表示されるので時間のあるかたは試してみてください。

視覚 37%
聴覚 18%
キネステティク感覚 44%

ギフテッド 天才の育て方 」という本にはNPLの3タイプ分類とは若干異なり、アスペルガー症候群にときにみられるような、認知特徴の偏り(凸凹)を「視覚映像優位型」と「聴覚言語優位型」わけて説明されていました。これまた参考になり面白いのでいずれ詳しくご紹介いたします。

ギフテッド 天才の育て方  天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル  遺伝子の不都合な真実―すべての能力は遺伝である 日本人の9割が知らない遺伝の真実

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コメント

  1. 廣瀬昌弘 より:

    発達はおそらくは、遺伝による、との記載。これがどれだけ親を傷つけるか、わかってかいているのだろうか。まず、これは、データにもとずく事実であろうか。自閉の子は、親の責任?そんなことはない。先天的なものではあるが、遺伝的なものではない。
    また、視覚、聴覚、体感、は遺伝?これも、データにもとずく?視覚優位の親は視覚優位が多いのではなく、単に比率が多いだけでは?体感優位の親は、体感優位が多いのだろうか。
    遺伝だと言うのは初めて聞いた。自分勝手な臆測で人を傷つけるのはやめよう。

    • すたー より:

      コメントから随分と返信に時間がかかってしまって申し訳ございません。御指摘ありがとうございます。おっしゃる通りだと思います。勉強不足ですいません。
      この文では「自閉は遺伝的」というような誤解を生じさせてしまいますので、「遺伝的」という語句を「先天的」に訂正いたしました。
      しかし、「遺伝子の不都合な真実―すべての能力は遺伝である (ちくま新書)」「日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)」を読むと、とても発達が遺伝の影響を受けないとは思えませんでした。このへんはどういった解釈をすればよろしいのでしょうか?ご鞭撻いただければ幸いです。
      あと、私は発達関連の書籍を読むのが好きで、それらの本を通してブログを書いてるのであって研究をしているわけではありません。ことさら間違った情報を伝えようとはさらさら思っていませんが、所詮ブログです。どうあっても私の主観を通過して書かれています。
      現時点での正確な情報が知りたいかたは、おそらく論文やしっかりとしたソースに基づいた一般書籍を調べると思います。でなければ、誰もブログを書けませんよ。
      2ちゃんの西村博之さんも、「嘘は嘘であると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」言われているとおり、掲示板だけでなくネットの情報はすべてそのようなものです。それが現在の情報リテラシーなんじゃないかなぁと思います。
      このブログを読んで、傷つくか傷つかないかもその人の主観次第だし、読むのを途中でやめればいいと思います。